気になる記事 感銘しました
2012年8月10日
気になる記事。感銘しました…ので紹介させて頂いています!
私は宮間あやキャプテンを「ネ申」だと思っています。
その神たる理由は単にサッカーが巧いとかだけではなく、その類稀なる「分析力と発想力」、そして人格からです。
そうはいっても宮間選手も人の子、今回はキャプテンとしての重圧からかフィールドプレーのキレが生まれない。そんな時に駆使したのは「口」とセットプレー。
あの試合前の名言「素晴らしいみんなと、素晴らしいウェンブリーという舞台に立てて、私はすごくうれしい」はもちろん、フランス戦前「個々の能力は高いが、組織的ではない」と言い切り、チーム全体にどうするかを植え付け、実際その分析と対応策が的中していましたね。
流れでの動きが悪い自分を冷静に判断できていて、マスコミにこう反論。
「ミスが多いと言われるけど、それは誰よりも自分がわかっている。私はただボールを蹴っているわけではない」
そしてパスが冴えないからこそ、落ち着いてできるセットプレーで自分の力を発揮することを選択したのが昨日のフランス戦。
1点目は、正直ミスキックで、キーパーがたまたまはじいたのを押し込めたと思ったら、そうでないことが判明。実は五輪直前にブレ球のキックを習得していて、あそこでそれ(低い弾道のストレートなブレ球)を出したのです。
大儀見選手の証言。
「GKは自信を持って前に出てくる。それで(宮間)あやがあえてブレ球を蹴ってくれた。こぼれて来るのを狙っていた」
つまり偶然のファンブルではなく、作戦通りだったわけです。
2点目のフリーキックもゴールマウスに向かっていかないボールを蹴ったのでおや?と思っていたら、なんとそれも宮間選手の試合中の分析力から
「相手GKのポジショニングが偏っているのが分かっていたんで。狙い通りでしたね」と1点目フリーキックとパターンを修正。
やはり大儀見選手の証言でも「2点目のシーンはGKがビビッて出てこなかった」というのです。
どうですか!これぞ「ネ申」の分析力と発想力ですよ!
不調?オンタイムでは確かに調子出てないけれど、それ以外では有形無形の大活躍じゃないですか!!不調とかなんと揶揄されてる分をカバーして余りあります。
宮間選手は今から半年前のあるインタビューにこう語っています。
質問
「アメリカの選手たちはフィジカルが強くコンタクトプレーでは日本はどうしても不利になる。ロンドン五輪ではアメリカとの再戦も予想されます。再び勝利を収めるためには、何が必要だと思いますか?」
宮間選手
「昨年のワールドカップのような運も必要ですし、運をたぐり寄せるための努力も必要だと思います。そのうえで、日本とアメリカとの間にあるのは「差」ではなく「違い」だという発想が大事になるでしょう。たとえばフィジカルを差ととらえてしまうと、アメリカのようにフィジカルの強いチームを目指さなければならない。これは私の持論ですが、フィジカルの強さは「決定的な勝利の要因にはならない」けれども、フィジカルの弱さが「負ける要因にはなる」ので、ある程度、フィジカルのトレーニングは必要です。だけど、それによって(差を埋めることで)勝つのではなく、「違う」点で勝負をすることが大事だと思っています。」
今回のなでしこの戦いを見ると、勝つサッカーをしているというよりも負けないサッカーをこれでもかと徹底しているように見えます。「違い」をちゃんと実行しています。それをすでに半年前に言っていた、この明瞭なる分析力と発想力は引退後の評論家でもないのに現役プレーヤーでいえるのも「ネ申」たる所以だと思っています。
そして宮間選手はテクニックとクレバーな選手だけではなく、奥深い人格を備えている、それも「ネ申」とあがめたい理由です。
昨日の試合後、そしてワールドカップ決勝直後、全く同じ印象的な場面をみました。Wカップでは誰もがあの大勝利に歓喜する中、宮間選手は何よりも先にショックを受けたアメリカ選手に駆け寄り、一人ひとりとハグをし声をかけていました。
その時のソロ選手は
「試合後、彼女が歩み寄ってきた時、彼女は喜びをあらわにしていなかった。彼女はアメリカに敬意を表したかったのでしょう。なぜなら、私たちが負けてどれほど傷ついたか分かっていたから。その出来事は本当に日本が尊敬すべき国だということを表しています」と振り返っています。
その時のシーンがこれ。
昨日もほんのちょっとのシーンしか映し出されませんでしたが、座り込むフランス選手と全く同じに地べたに座り膝を突き合わせ会話を交わしていましたね。
話しかけられているフランスの選手が逆に宮間選手に手を伸ばしているのがものすごく印象的。素敵な光景だと思いせんか?この試合を見て本当によかったと、このシーンを見たときにより深く刻まれました。
こんな逸話にもしびれました。
Wカップで優勝してなでしこの大ブームが起こり、どの選手もマスコミオファーに引っ張りだこでしたよね。しかしあの時大活躍だった宮間選手がほとんど登場していなかったことを思い出しませんか?
実は帰国後それらのオファーを全部断り、真っ先に所属チームの「岡山湯郷」へ戻り、地元の方々にこう報告をしたそうです。
「私が今あるのは、岡山の皆さんのおかげです。それに、早く温泉につかりたいから(笑)」
この気遣いと、それを重荷にしないこのユーモア。
宮間選手の人格を感じさせるまたこんな言葉もありました。
「下手な選手がいるなら、巧くなれるように助けてあげればいい。私は、試合には勝ちたいけれど、ただ強いだけのチームに入ってチャンピオンになりたいとは思わない。『一緒に戦いたい』と思える仲間がいるチームで、一番を目指したい」
宮間選手のスポーツへの対峙の仕方、これはそういうことを超越したまるで企業家の鑑のようにさえ感じます。
フランス戦後すぐのインタビューでこう語ったのにも驚きました。
「この勢いを男子も受け継いで男女ともファイナルに進みたい。」
過去、女子が男子を直接鼓舞するなんて、他の競技でも果たしてあったでしょうか?宮間選手のアンテナはもう宇宙規模です。
「いつも思うのは、みんなの背中が頼もしくて、みんなを誇りに思うし、ここに自分が立てていることも誇りに思う」
「決勝に立つための準備はクリアできた。明々後日の試合に、今までの人生を懸けたい」
今度の決勝戦はそんな宮間選手に少しでもシンクロしながら観戦してみるつもりです。
追記:みなさまのたくさんのリツート等から「◆宮間あやキャプテンへのメッセージとして」をまとめさせていただきました。
キモノスタイリスト冨田伸明
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